コロナ感染症の影響が過去のものにつれマスクをする人の姿も減り、世の中が陰に通じていた気配が薄れてきてはいる。が気を抜けば闇バイトやブラック企業など平凡な人さえ闇落ちしてしまう怖さはあるし、来月7月5日に大災難が起こるというデマは私の職場でも話題にのぼった。非科学的な観測が実際に台湾や香港からの訪日客数に影響を与えているのはやはり異常だと感じる。
もし何も起こらなければ読み手の不安を刺激して一稼ぎした輩は、外した報いをどう受けるのだろう。あるいは過ぎたことは知らぬ存ぜぬを通すのか。警告を強調しながらもSNS上ではアクセス稼ぎを目的としたスピリチュアル関係も多い。
さて、もし自身が看過できない怪異に見舞われたらどうすればよいか。ただただ翻弄されるしかないのだろうか。ここでせめて日常に問題が発生しない程度にまで影響を緩和させられれば良いのではという考えが浮かぶ。
特に家が異変と通じた場合、消耗感は著しいものになる。引っ越したくてもすぐにはできない、一刻の猶予もままならない、そんなとき本作の尾端青年のように的を得た対症療法が気休めになる。余談ながら巻末の宮部みゆき氏による解説が秀逸であった。